インタビュー第4回、様々なメディアを横断して活躍されているフードスタイリストのマロンさん。

フードスタイリスト、マロンさん

雑誌、テレビ、ラジオ、YouTube等々、様々なメディアを通じて、食の魅力を伝えるフードスタイリストのマロンさん。多くの人に愛されるその柔らかな人柄から生み出される、センス溢れるレシピやフードスタイリング、その真髄に触れるお話です。

Q :私はNHKの今日のレシピで、マロンさんのピクルスが年間の第1位になって、あれを今も真似しています。 

ミックスピクルス レシピ マロンさん|みんなのきょうの料理 (kyounoryouri.jp)

マロンさん:もう何十年も前だけど、今も美味しいと言って頂ける方が多いですよ。レシピでは三温糖を使っていますが、色々なお砂糖で試してみたけど、上白糖も合う。摂り過ぎは良くないけど、調味料としての力がある。お酢だって、品の良いお酢を使っても美味しくなくて、王道な力のあるお酢を使った方が美味しくできる。

Q :レシピって数学的な要素もあるのですか?

マロンさん:それもある。よく“料理は科学”と言われるし、特にお菓子なんかには方程式があると言う人も多い。何となくそれを理解しているから、あえてそこを外したりとかは得意かも。私みたいなアプローチの人は少ないからね。

Q :今は何でも「映え」がもてはやされていますが、盛り付け等の見た目とかは結構気にしますか?

マロンさん:見た目も大切だけど、食べなきゃダメ。“食べる力”、“食力”って言ってもいいけど、食べる力がない人は、見た目にもエネルギーがダウンしている。調味料にも力があるってさっき言ったけど、やっぱり力をつけないと。私も食べる事がすごく好きで大切にしてきたから、もう小さい頃から食で生きていこうと思っていましたね。

Q :それはシェフとかレストランとかですか?

マロンさん:それも考えたけど、東京に出てきて色んな経験の中で、自分は違うな、合ってないな、と思った。やっぱり人前に出る仕事が好きだったから。食にも色々な関わり方があるでしょ、見えない所で作る人もいれば、私のように表に立つ人もいる。マロンの場合はやっぱり表現者だから、表現者でいたいから、そこはもう突き抜けなきゃ思っています。“シェフ”でも“主婦”でもない、“マロン”です。

Q :マロンさんと言えば、トレードマークがメガネやボーダー柄ですよね?

マロンさん:メガネやボーダー柄が自分のスタイルに、トレードマークになったよね。逆に「ボーダー着てればマロンさんだから、洋服考えなくていいから楽でいいですね!」なんて言われる時もありますよ。

Q :オージー・ビーフでもご尽力いただき、消費者イベントもご一緒させて頂きました。その時、美味しいお料理はもちろん、エンターテイナーとしてお歌を歌って下さった時は、皆さん感動していらっしゃいましたね。

マロンさん:十数年前から歌っていますね。料理もそうだけど、歌も僕を今支えてくれている大切なもの。声を出して仕事をしたいというのは、ずっと前から思っていて、イベントなどで歌わせていただいた機会もありました。音源作って貰った事もあったけど、今では生で歌っています。

Q :歌とお料理って似ているところがあるのですか?

マロンさん:昔は 「歌を歌うように料理を作る」とか言っていましたね。今、ラジオのお仕事をしているけど、“語る”ことと、“歌う”ことは似ていますね。役者さんも“演じる”ことは、“語る”ことだと言う。今、ジャンル的に色々歌っているけど、シャンソンはマロンにすごく合ってる。やっぱり語りの歌だし、僕の声質とも。

この間、マロンのイベントに音楽に詳しい人が来て下さって「マロンさんの声は倍音だから、マイクが無くてもいい」って言われて。「僕、歌を歌っているのですよ」って言ったら「やっぱり!」って。耳で聞いて、すぐにマロンの声が倍音で響くことを分かって下さったの。

ただ「料理も音楽も一緒」と言うのは、僕にはちょっとまだ早いかな。もう少し自分の中に、体に、歌を通さないと。料理についてはもう通っていると思う。

Q :年を重ねて、意識的に行っていることはありますか?

マロンさん:よく言うのが、何事も面倒くさがらない、ということかな。例えば毎日ポストを開けるとか。あと、何でもカードをタッチで買えるけど、指先を使って小銭を数えて払ったり。人と触れ合っておつりを貰う、そういう事が大切だと思ってる。

Q :栄養を考えて、一汁三菜を意識したりとか?

マロンさん:そこまでは考えないかな、食べられればいいのだから。一汁三菜なんて、毎日できないでしょ。食べたいものって自分でピピっと来る。もし今日ちょっと野菜食べたいと感じたら、コンビニで買えばいい。偏ることが1番ダメ、時にはラーメンも食べたいし。みなさん頑張り過ぎなくていいのよ。

若い人とも、子供たちとも一緒に食について何か考えたいけど、シニア世代をターゲットにして、食べ物の提案とかできたらいいと思う。栄養価とかは後付けでもいいので、色で食べるとか、ビタミンカラーとか。新鮮な葉物を見るだけでもエネルギーを感じるし、それを茹でた瞬間の変化の鮮やかさに心動かされたりとか。食の持つ力を伝えたいよね。

Q :レンチンなど様々な選択肢がありますが、調理方法にこだわりはありますか?

マロンさん:みんな時間に追われているし、楽もしたいし、レンチンでいいんですよ。別にレンチンが悪いわけでなくて、もうそんな時代じゃないから活用しないと。コンビニエンスストアにも電子レンジが、お湯があるように、お湯と火があれば料理はできるわけ。お湯を沸かすということは一つのセレモニーだから、「肩の力抜いてやってちょうだい」って思います。

Q:年を重ねていくごとに体との向き合い方が変わってきましたか?

マロンさん:やっぱり当然食は細くなる。時々ちょっとお腹空かせて、節制して胃腸をちょっと休ませることも大事。発酵食品とかも取り入れている。あと野菜は「野菜食べてないな」って思った時に食べればいい。無理して千切りキャベツばかり食べられないでしょ。

レシピの数値は大事だけど、あんまりそこに重きを置かなくてもいいのにね。僕は料理も自分の生き方も“楽しく自由に”という感覚を大切にしてきたから。ただ人って全てを自分でコントロールできないよね。人って生きていたら、みんなに迷惑をかけて生きていくしかないしね。

Q :みんなお互い様。

マロンさん:本当にありがたいって思う。日本人は小さい頃から「人様に迷惑をかけちゃダメ!」って教えがあるでしょう。インドって違って、「どうせ人って迷惑かけて生きるのだから、人様のことを大切にしなさい!」って教える。

Q :素敵ですね。そう思って人を大切にする方がいいですよね。

マロンさん:“人を大切にする”というか、“人様のことも考えて優しく生きる”とかそういう感覚。まだマロンはそういう気持ちは持っているわよ。

Q :分かります!いつも笑顔だし笑元気もらえます!

マロンさん:表現する事って出しっぱなしだとダメで、やはり充電が必要。後はアップデートもしていかないと。色んなインプットの方法があると思うけど、僕は人と会うことを1番大事にしているかな。

Q :フードスタイリストの肩書ですが、料理研究家と名乗る時もありますか?

マロンさん:僕は一貫してフードスタイリスト。よく今でも料理研究家と紹介される事があるけど、「僕は違うのよ。料理を研究してません!」って答える。「料理って研究するもの?」そういう思いがある。

Q :社会的な価値観的なものとか、役割的なものとか、意識されますか?

マロンさん: “こども食堂”のイベントなどで子供たちや学生さんと一緒に料理をすることがあるのだけど、食の大切さを次代に伝えることって大事だと思ってる。みんなが気にしているし、やっぱりそこには賛同して、一緒に考えていくっていうのは必要かも。仲間というか、そういう同じ思いを持つ人たち何人かで作り上げていくことが大切かな。僕は一人芝居っていうか、一人で活動する人だけど、それでも色々な人と関わって、一緒にお仕事をしていくとは大事だと思う。

Q :食べる力っていうのは魅力的な言葉ですね。

マロンさん:僕のテーマは人。お皿があって、そこに料理を盛り付けてスタイリングして、テーブルがあって、そこには人がいるでしょう。やっぱり人が見えないとダメ。誰と食べるかとか、残り少ない人生を誰と食事をするかってとても大事なこと。生きていく上での食事の大切さを、やっと分かったって感じ。これから生きていかなきゃいけない人たちに、それを伝えなきゃいけないな、って。

シニア世代に向けても、何か伝えたいですね。どうしても食は細くなるだろうから、少なく、美味しく、食を楽しむことを。人の真似なんてしなくてよくて、マロンしかできないことをやりたい。大変かもしれないけど。

Q :すごいですね、人生相談始めちゃいたいくらいです。

マロンさん:よく相談されるのよ、飲み屋で。やっぱり女子が多いね、マロンに聞いてくるのは。やっぱりみんな僕のように“楽しく自由に”という感覚で生きている人間に興味があるんだよね。

マロンさんに食相談だけでなく、人生相談を始めてしまいそうになりました(笑)。マロンさん、色々なお話ありがとうございました!

いかがでしたでしょうか。食の力について改めて考えさせられると共に、食を気楽に、自由に楽しむこことの大切さに気付かさせて貰えたお話でした。楽しく、楽(らく)して、元気&キレイになりましょう♪

マロンさん公式サイト:https://www.marons.net/

マロンさんブログ: https://ameblo.jp/maron-magic/