bfキレイメニュー200以上!美味しさと栄養を両立する秘訣を栄養士の藤原奈津子さんに直撃インタビュー!

藤原奈津子さん

「簡単!映える!マネしたい!」と大人気のbfキレイメニューを200以上も手がけた藤原奈津子さんに、食をより楽しく、美味しく味わい、元気でキレイになるための秘訣をお伺いしました。

Q :食に関わるお仕事に興味を持ったきっかけを教えていただけますか?

藤原さん: 米農家を営む家で育つ中で、出荷された農作物が、どんな風に家庭やレストランに届き、食卓で食べられているんだろうな、と思うことがありました。それから料理ではなく、食品そのものの仕組みや、食べたら体にどういう作用があるのかを知りたいと思い始めました。

学校で給食の献立を作っているのが栄養士で、料理を作るのが調理師という仕事がある事を知り、栄養士は体を元気にする設計者のような存在だと思うようになりました。そこから給食を見る目が変り、「料理、素材の組み合わせには意味があるのでは?」、「こんな仕事を将来やりたい!」と思ったことが、今に繋がっている感じです。

Q :小さい頃から食べることが好きだったんですか?

藤原さん: 食べることは好きでしたね。我が家では、母が作ったおかずを子供達が自分の好きなお弁当箱を選んで詰めていくという“お弁当お手伝い”がありました。おかずは5色であること、隣り合わせのおかずが一緒の色にならないように配置することなど、独自のルールがありました。自分の家の前が畑なので、足りない色を求めて、畑に食材を取りに行ったりもして。ふたを開けるとカラフルな弁当のデザイン体験が、今の仕事にも繋がっていると思います。

ゴマとか海苔以外に黒い食材ってなかなか無くて、いつも黒には悩まされて。卵焼きを黒く焦がして、「黒だ!」と言い張って……母に怒られたこともありました(笑)。

Q :子供ながらに、知恵渋りますからね。いい食育トレーニングでしたね。

藤原さん: そうですね。今は栄養学の知識もあるので、バランスを整えることを頭で考えがちなのですが、食への関心実践が“5色弁当”という、カラーデザインみたいな感じから始まってるので、視覚美味感性を自然と身に付けることができました。

Q :bfキレイのメニューはほぼ全て200食以上、藤原さんに考案して頂きましたが、色が凄い優しいんですよね。奇抜な色とかだと、毎日とかだと疲れるじゃないですか。

藤原さん: 料理の色合いも意識しますが、食器にも気を使いますね。食器は数を持っている訳ではなく、使い回しも多く、形とか色違いで5、6種類ぐらいをルーティーンで使っています。

教育での家庭科以外に、大人になってからも、材料や作り方などはレシピを見ればわかる部分も多いのですが、料理の盛り付けは、習う機会が少ないので、大人になってから一番アップデートが難しいスキルだと感じています。お皿1枚を変えるだけで、レシピの腕前を上げるよりも10倍ぐらい美味しそうに見えたりする時もあります。私としては、食器選びも含めてレシピの提案ができたらと思っています。

Q :食って、女性が作るものっていう概念から、みんなで作るものといったように、変化を何か感じてますか?それとも昔からあまり変わらない感じですか?

藤原さん: 調理道具のデザインがカッコいい化してきたのは本当に大きな変化です。道具によって料理が上手くできたり、できなかったりするので、大人になってからの道具選びって、割と重要です。

基本的な調理スキルは、社会人になってからは磨く機会があまりなくて、学生の時で止まったりすると思うんですよね。調理テクニックや調理法や時短など、それぞれの目的に合わせて、道具を賢く選ぶ人も増えてきていますね。

調理家電などは、より男性らしい色合いとか、スタイリッシュなデザインものが出てきて、「男性も料理をするだろうな」という空気を後押ししていて。鍋や包丁などの調理器具のデザインも可愛らしいって言うより、カッコいい方向に進化しているように感じています。

Q :昔は4人前とかでレシピがあったと思うんですが、今って2人前とか、1人前とかが多いですよね。そういう流れってもう定着していますか?

藤原さん: 確か10年ぐらい前は、レシピ開発の仕事は4人前が多かったのですが、最近だと、基本は2人前で、1人前も多くなってきていますね。

キャベツの1/4カットや、トマトの量り売りのように、食材売り場のポーションもどんどん少量調整ができるようになってきました。昔だとお得の為に1玉買って、それを自分で分割すれば良かったんですけど。買うところから無駄にしないっていうか、割高でも買う人が確実に増えています。ミニトマトの量り売りなんて「えっ、2粒どうするの?」とびっくりしつつ、ついつい色違い、形違いで試し買いしてしまいますよね。

Q :お惣菜など、出来合いのものを積極的に取り入れる派ですか?

藤原さん: 個人的には出来合いのものは推奨しています。食材から0→1で作るよりは、出来合いのものを1→3のように賢く、時短を意識して選ぶのはいいかなって。キット、セットになっているものなどは、見えない家事である材料選びなどがジャンプできるので、料理するという気持ちも軽くしてくれますよね。

自分の料理レパートリーでメニューが固定されちゃうと、味がマンネリ化して、栄養も偏りがちになります。それよりは食材セットや、調理工程をスキップできる調味料などで時短して「毎日違う味を食べてみよう!」と冒険した方がいいと思います。違う食材、料理に出会うことで、栄養の幅も広がりますよ。

この前、海鮮チゲ鍋セットを買って楽しみました。分量も間違いないし、当たり前ですが、味も決まっていて。ただ食べる時に、テーブル映えする鍋に入れ、お気に入りの皿に取って食べたり、スタイリングには気合を入れましたね。

Q :働く女性って20代、30代、40代、これからどんどん体の変化がありますが、疲れてたりとか、体調が悪い時は食に関してまず何を意識していましたか?

A :忙しい時に限って、体のために食材に気を付けようとか、レシピを変えてみようと思っても考える時間も心の余裕も無くて。栄養士として食でセルフケアをできない自分に罪悪感を持ったりした時期があったんです。

それをどう解消するかと考えた時に思いついたのが、調理道具を1個新しいものを買う事でした。お肉が美味しく焼けるエアオーブンとか、めちゃくちゃ良く擦りおろせるおろし金とか、調理のテクニックをサポートしてくれる道具を増やした方が、料理に対する心理状態をも突破できるんじゃないかなと思いました。

一番効果的だったのはフライパンを買い替えた事。最近のフライパンって表面加工もハンドル部分も使いやすいものが多く、「あっ、私でも上手く焼けるじゃん!」という感覚が、料理への負担を楽にしてくれて。料理にも前向きになれましたね。

オススメは、グリル模様が付くグリルパン。肉やズッキーニにグリル模様が付く高揚感を楽しんだり。そして、最強なのは包丁の買い替えでした。三徳包丁からプロ仕様のペティナイフにしたことで、小回りもきくようになり、刻みが楽しくなりました。気持ちを切り替えるキッカケとしても、断捨離のような効果にしても、調理用具の見直しはすごくいいなと思います。

エイジングによる不調は、一気に解消できないですし、長い時間をかけて少しずつ体を変えていく作業なので、日々の道具を見直して、少しでも食に関わる作業をしやすくする事はとても意味のある事です。

Q :忙しい仕事の合間で、ご飯でこれだけは気を付けるってことはありますか?例えばタンパク質は絶対摂るとか、ビタミンは絶対に摂るようにしているとか?

A :同じような物を食べず、種類が違う物を食べようとする意識はずっとあって。仕事に追われると、ヘルシーなものを食べないといけないという思い込みに左右されて、料理のカテゴリーが毎日和食になったりして食材も偏ってきちゃう方が多いように思います。

和食だと、必然的に根菜とか、醤油とかが多くなりがちでは。疲れた時にはケチャップやベビーリーフなど洋風食材もビタミンが多くてオススメです。和、洋、中、エスニックと、昨日と違う料理ジャンルにすることで、栄養の幅も広がりますよ。

Q :買い物する時、メニューはその場で、もしくは予め決めていますか?

A :買い物は直感式です。気分によってまず料理ジャンルを決めてから、売り場を回るんですよ。栄養学的なお買い物テクニックとしては、野菜は色で選ぶ方法があります。             

食材って偉いなと思っていて、ストレスで癒されたい時は癒しカラー、薄い色の野菜が効いたりするんですよ。例えばキャベツとか、ネギとか薄い色の野菜。逆にスタミナ切れ、元気が無い時は、パプリカとかトマトとかカボチャとか、パキッとしたカラー食材が元気を分けてくれます。ファッションと一緒で、なりたい自分像に合わせてお洋服のトンマナを選ぶように、野菜の色も選ぶのは大正解なんです。

動物も、私たち人間も、原始時代や平安時代とかでも、これは危険な食材だとか、これは良さそうだって、まずは視覚で感じますよね。視覚は食べる前の情報としてとても重要です。

視覚からの栄養アプローチとして、フィトケミカルに注目しています。フィト=『植物』、ケミカル=『化学成分』という意味で、野菜や果物の色素や香り、辛味、苦味などに含まれる機能性成分のことで、近年研究が進んでいる分野です。

これから、色はレシピよりもっと重要になるかもしれません。付け合せ一つでも、そういう気分で選んでいくと、お皿の雰囲気が変わります。やっぱり自然ってすごくて、それは動物と人間に共通な感覚で、猿とかも「何、この赤いやつ、元気出そうじゃん!」みたいなイメージで食べたりしている様に感じる事があります。

ただ素直にならないと、このカラー選びは難しくて。「今日は疲れているな」みたいな感覚を受け止め、「癒されたい」みたいな気持ちを認め、素直な気持ちで売り場で野菜を選ぶ事で、自然と体調に合った色の野菜を選ぶ事ができると思います。

Q.人生100年時代と言われています。変化する社会の中で、頑張る女性にひとことお願いします。

A.健康を意識し過ぎて、料理とか調理に向かうと、今までの知識とかが、心の負荷を大きくするので、楽しいとか、楽とか、そういう気持ちを持つことが大切です。

栄養士の立場からすると、一つの領域として、栄養をちゃんと学んでみたり、流行りに左右されない基本的な知識を、面白い目線で学んでみたりしたら、新たな発見に繋がると思います。栄養の世界はカロリーだけではありません。栄養学は、人類が始まって以来の多くの時間と人類経験によって編纂された世界最古にして最大の統計学と最先端科学の世界だと感じています。

料理って今はレシピ中心の考え方になっている方も多いのではないでしょうか。レシピから一旦離れて、食材そのもののインナーデザインを、デザイナーになったつもりで、仕組みについて時間をかけて改めて学ぶには凄くいい時代、年代だと思いますね。

食の栄養リテラシーは、やはり伝承が基本です。冬至の日にかぼちゃを食べるなど、はるか昔から現代に至るまで、時代を超えて風習として残っている知恵は、やはり栄養学として効果効能が証明されてきているものも多いです。そんな意味では、日本人が歴史の中で試してきて、途中で失敗したり、廃れていったりした事もあると思いますが、レシピ以外の食事対する切り口を多く持つことは大切ですし、食をよりダイナミックに感じることに繋がります。

食も洋服のコーディネートみたいに、ドレッシーな日とカジュアルな日のような、実は視覚的に感覚的に分かりやすい自己表現なのです。自分の今の気分に素直になって、感性で楽しんでいただきたいですね。

いかがでしたでしょうか。色で食を選んでいく、新しいアプローチはすぐに実践可能ですよね。楽しく、楽して、元気&キレイになりましょう♪